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今後のエネルギーを考える

2012/01/01

 エネルギーの特性を評価するとき、経済性、安全性、安定性、環境性の4因子で考えるのが適当だろう。このうち、安定性はさらに3つの要素があり、それは資源安定性、供給安定性、出力変動性である。この条件で見たとき、資源有限で環境的にCO2排出の問題を有する化石燃料は、次第に他のエネルギー、すなわち再生可能エネルギーと原子力に代替される必要があるが、この2つのエネルギーもそれぞれ問題を有する。
 再生可能エネルギーはフロー型のエネルギーで資源問題がなく、環境的にもクリーンであるが、コストが高く出力変動が大きいという欠点を有する。いろいろ対応の努力が行われているが、後者の欠点はコスト換算するとかなり高く大きなハンディとなる。原子力は、福島第一原発事故のようになると大きな問題を引き起こす可能性があり、また放射性廃棄物が排出されるという問題点がある。しかし、これらの問題点をコスト換算しても、そのコストは化石燃料と同程度だし、CO2を排出しないことは大きな利点である。現在原子力発電所がないとすれば、日本のCO2排出量は20%近く増加する計算になり、その役割の重大性が分かる。原子力の安全性の向上に多大な努力をすべきことはたしかだが、原子力を一定程度確保することは日本にとってぜひ必要なことであろう。
 そして長期に渡る将来を考えると、現在の再生可能エネルギーや原子力の問題点を補えるような新しいエネルギーの出現に期待したい。核融合、宇宙太陽光発電、太陽熱発電等はそうした可能性を秘めた新しい技術と言えよう。

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