経営戦略
三菱UFJフィナンシャル・グループ一体となっての顧客支援も含めて、他社にはない独自の総合ソリューションをご提供致します。
日本は世界に先駆けて超高齢社会を迎えている。平均寿命は延伸しているが、健康寿命とのギャップが6~8歳あり、いかに寝たきりにならない生活を送るかということが課題となっている。高齢者だけではなく、壮年期の生活習慣病や若年層の心身疾患の増加等も同じく大きな社会問題となっている。これらの健康に関わる問題を解決する糸口として、さまざまな健康施策が実施されているが、旅行の分野では「ヘルスツーリズム」が注目されている。
一方、旅行業界の市場規模はここ数十年低迷し続けている。特に宿泊旅行における消費額が減少しており、旅館やペンションの市場規模もこの20年で大きく落ち込んでいる。この背景には、経済的な理由もあるが、それ以上に、多様化する顧客ニーズにうまく対応できていないということが要因として考えられる。低迷する旅行業界を活性化するひとつの切り口としても「ヘルスツーリズム」は期待されている。
そこで、ヘルスツーリズムと施設の集客状況を明らかにするため、東海地区のホテル・旅館にアンケートおよび取材を行った。そこから明らかになったことは、同じヘルスツーリズムを展開していても、「集客に成功している施設」と「そうでない施設」が存在するということである。
本稿では、健康問題の現状と国や自治体、民間企業が行っているさまざまな取り組みを紹介するとともに、ヘルスツーリズムの実態と課題について、日本の観光資源と旅行業界の実態を踏まえ考察する。さらに、アンケート調査および取材から見えてきた事実をもとにヘルスツーリズムの課題を解決するために必要なステップを8つの視点で提示する。