経営戦略
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2011年の中東は、「激動の1年」と言えるだろう。2010年の年末から年始にかけてチュニジアで発生したジャスミン革命は、あっと言う間にアラブ世界に波及し、この1年の間にいくつもの独裁政権が覆るに至った。アラブ首脳会議が、相次ぐ「首脳」の欠席で無期限延期に追い込まれたほどであるから、この動乱のアラブ諸国への影響は相当のものだろう。
国内外のメディアでは、「チュニジアは今後どこへ行くのか」、「トルコの世俗主義はモデルになるのか」といった論調が時々見られる。長く世俗主義路線を歩んできた歴史がありながら、イスラム主義政党が政権与党となっているという共通点ゆえに、チュニジアはトルコと比較されることが多い。両国ともに建国時に世俗主義路線を採用してきたが、選挙制度を通して世俗主義の枠組みの中でイスラム主義政党が対話的に発展したトルコと体制からの弾圧と反動を繰り返したチュニジア。両国のイスラム主義政党の歩んだ道は異なっている。
トルコとチュニジアが、今日に至るまでの背景を理解することなしに、今の両国を比較することは難しいと言えよう。本稿では、両国の歩んだ世俗主義路線、イスラム主義政党の復興過程、世俗主義体制に対するイスラム主義政党の関係性という面から、両国の共通点・相違点について整理・把握を行うものとする。
日本人には理解しがたいという印象を持たれがちであるが、本稿が宗教と政治というテーマが論点になる中東世界の理解に少しでも役立てば幸いである。