経営戦略
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欧州の「エネルギー自立」は、およそ40年前にパイオニアと言われる人びとが、省エネルギー、エネルギーの高効率利用、そして再生可能エネルギーによる取り組みをいくつかの地域で目指したことがはじまりだった。当初は、極端な理想主義、非現実的な夢想家とも揶揄された彼らの運動や挑戦の流れは、1986年のチェルノブイリ原発事故、1992年のリオの国連環境会議、1997年の京都議定書といった世界的な事故や会議を経て、拡大していった。とりわけドイツ等で90年代初頭に再生可能エネルギー電力の固定価格買取制度が整うようになると、細い流れは社会的な大きなうねりへと変化した。そして2011年の福島第一原発事故に世界は震撼する。同時に、この事故を契機に、エネルギー自立の運動は、今後もますます勢力を拡大しながら、続けられてゆくだろう。
国が支援する形の再生可能エネルギーによる「エネルギー自立」を目指す自治体や地域は、すでにドイツでは129ヵ所、オーストリアでは85ヵ所に達している。その定義や取り組みは国や地域によってさまざまだ。ここでは、とりわけ、近年の取り組みの進展度合いが著しいドイツの政策や法制度、社会状況を中心に、「エネルギー自立地域」について説明を試みたい。欧州5ヵ国における具体的な先進事例としての「エネルギー自立地域」の紹介は、共著『エネルギー自立地域』(学芸出版社)に詳しいので、そちらを参考にしていただきたい。