経営戦略
三菱UFJフィナンシャル・グループ一体となっての顧客支援も含めて、他社にはない独自の総合ソリューションをご提供致します。
~先進企業が実践する、競争力を改善・革新させる着眼点~
最近、自社の事業継続力強化のため、それを支援する2大ツールを再構築し整備 を本格化する企業が目立ち始めた。事業継続計画(BCP)をその実効力が高まる よう再構築することと、部材・設備のサプライチェーンリスク管理を整備すること である。前者のBCPは積極的に再構築を進めた企業各社によって高度化・重層化 され、細部は個社ごとに異なるものの俯瞰すれば共通点も多く、とりわけ再構築に 際しての考え方は大きな潮流を生み出している。後者のサプライチェーンリスク管 理は、自動車・建設機械・産業機械等、製造業に属する一部大手企業の先進的な活 動にとどまるのが現状であり、課題は残るものの、管理の枠組みは定まりつつある。
日本企業がこれらの課題解決に取り組むきっかけとなったのは、2011年の東日 本大震災とタイ洪水である。防災・減災対策の限界に直面した各社は、第1期とし て、ともすれば防災計画が中心となりがちであったBCPを改め、本来の姿である 有事渦中の事業活動を支える業務継続へと焦点をシフトした。第2期では、BCP整 備の投資対効果を高める気運も生まれ、平時にも緊急時にも経済的効果が発揮され る本質的な事前対策を重視する活動にシフトした。すなわち、自社内の生産工程や 調達サプライチェーンに散在する事業継続リスクの低減活動である。
このように、事業継続力強化の取り組みは広範囲にわたるため、企業各社は自社 事業の特性を踏まえたうえでの再構築・整備を迫られ、その実態は各社各様となっ ている。そこで、今後、事業継続力強化に取り組む企業の参考に資するよう、これ らの実態から主要な論点を抽出し7つの潮流としてとりまとめ、強化の実践的な進め方も付記した。なかでも 最新の潮流であるサプライチェーンリスクへの対応は別章を設け詳述してある。
また末尾では、企業競争力の側面に視座を変え、本論を振り返り結言とする。