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21世紀の国土のために「縮小」造林政策を考える

2014/02/14

森林は、日本の国土の約7割を占め、国土管理を考えるうえで、極めて重要な生態系である。そこで、本稿では、国土管理の視点から、主に戦後の拡大造林政策により、数十年間で2倍の面積となった人工林をどのように管理していくのかという点について、木材需要の動向だけではなく、健全な森林生態系のプロセスの維持という観点から総合的に考察を行った。

現在日本の人工林は、拡大造林計画の基礎となった需要の予測とは裏腹に、日本の木材需要は減少傾向にあり、「飽和」した状況にある。したがって、バイオマスエネルギー利用等の新規の需要開拓の努力をしながらも、高まる災害リスク等を考慮に入れると、人工林を生態系プロセスに委ね、環境林へと移行していく「縮小」造林政策が不可避の課題となっている。

加えて、日本列島において1万年の歴史を持つ、半自然草原は、希少種の生息域として重要な他、シカ等の野生動物管理や放牧利用等の観点から、現代的な意義を持つ重要な生態系になる可能性がある。

提案した縮小造林政策の実行にあたっては、かつての拡大造林政策のアプローチとは異なり、地域主導の原則が貫かれるべきである。地域での合意形成を中心に置きつつも、マーケットインセンティブの活用や、専門家の育成等が実行の観点からは重要である。

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