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Creative Agingのための文化政策

2016/11/09

本稿においては、高齢者および高齢者が抱える社会的課題に対応する文化政策を「Creative Agingのための文化政策」と名付けた。そしてはじめに、超高齢化社会となった日本における「Creative Agingのための文化政策」の現状を分野ごと(美術、演劇、音楽、小説、俳句、映画)に概観した。また、米国における「Creative Agingのための文化政策」の事例を整理した。続いて、英国における先進事例を概観したうえで、スコットランドにおける高齢者のアートフェスティバル“Luminate”の現地調査の成果をとりまとめた。

これらのリサーチのまとめとして、Creative Agingの取り組みを、「高齢者の関与方法(主体か客体か)」および「活動の場(高齢者施設の内部か、外部での活動か)」という2つの軸により、4つの象限に分類した。そしていくつかの先進的なプログラムは、それぞれの象限から滲み出していき、軸線のボーダーを越境していくかのような活動が特徴となっていることを指摘した。

最後に、日本における、これからの「Creative Agingのための文化政策」に関して8つ政策提言を行った。この8つの提言とは、①全国的なフェスティバルの開催およびプラットフォーム的な組織の設立、②対象とする芸術分野の拡張、③全国の公民館をCreative Agingセンターに転換、④全国の温泉を高齢な芸術家のレジデンス施設に、⑤日本版CCRC(Continuing Care Retirement Communityの略語)における「文化」プログラムの導入、⑥介護報酬のクリエイティブな改定、⑦福祉・介護予算の1%を文化芸術に、⑧Creative Agingを2020オリンピックのレガシーに、である。

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