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グリーンインフラとは何か

2017/02/15

グリーンインフラ(グリーンインフラストラクチャー:Green Infrastructure)とは、自然の機能や仕組みを活用した社会資本整備、土地利用の考え方である。グリーンインフラという考え方への期待は、一見すると、自然環境保全の動きに起因するととらえがちであるが、現在の幅広い主体、学問領域における関心の高まりを見ると、環境以外にも実に多様な観点から期待されている。

国際的には、地球環境問題、生物多様性保全だけでなく、資源・エネルギーの枯渇、グローバル経済化による地域経済の停滞、世界的な防災リスクの高まりが背景となっている。また、日本においては、少子高齢化・人口減少による土地需要の変化や、気候変動等にともなう災害リスクの増加、経済構造の転換による地域経済の停滞等、さまざまな社会的課題への対応策としての期待も高まっている。そして“グリーンインフラ”という言葉は、経済振興、防災・減災、環境保全の取り組みをつなぐ、世界共通のキーワードになりつつある。

欧州においては、欧州委員会が、2013年6月に「欧州グリーンインフラ戦略」を発表し、米国では、雨水管理機能を高めるグリーンインフラの整備を推進する制度構築や技術蓄積が進んでいる。このような欧米の動向を踏まえ、さまざまな国際会議においても、グリーンインフラの推進を後押しする動きが活発化している。環境分野では、生物多様性条約、気候変動枠組条約、国連防災会議、さらには2016年に日本で開催されたG7首脳会議において、経済・開発の文脈でグリーンインフラの推進が期待されている。

日本でも、2015年以降、自然の多機能を活用するグリーンインフラの概念は、国土交通省をはじめ、関係省庁の行政計画に位置づけられ、豊かな環境を備えた生活空間の整備、地域資源を活用した経済振興、費用対効果の高いインフラ整備・維持管理、都市・地域間の競争力の強化に向けた方策として、グリーンインフラという考え方の必要性が議論されている。

現在、注目されているグリーンインフラとは、これらの既存の自然の機能を活用した取り組みを後押しするものであるとともに、グリーンインフラの要素となる取り組みのハードとソフトの対策をより効果的に連動させ、異なる土地利用における個々の取り組みの空間的なつながりを強化することで、一層大きな社会、経済的な便益の確保を目指す動きととらえられる。

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