1. ホーム
  2. レポート
  3. レポート・コラム
  4. 機関誌(休刊中)
  5. 季刊 政策・経営研究
  6. ④大阪湾における市民参加型生物モニタリング調査

④大阪湾における市民参加型生物モニタリング調査

~多様な主体による連携と協働の視点から~

2018/02/20

大阪湾再生行動計画は、国が主導する「都市再生プロジェクト」の一環として策定されたもので、「森・川・海のネットワークを通じて、美しく親しみやすい豊かな『魚庭(なにわ)の海』を回復し、京阪神都市圏として市民が誇りうる『大阪湾』を創出する」ことを目標としている。この計画に基づく市民参加によるモニタリング調査として、市民が自ら海岸の生物を調査する「大阪湾生き物一斉調査」が大阪湾再生連絡会において提案され、2007年度にその実行部隊である「大阪湾生き物一斉調査プログラム実行委員会」結成された。翌年に第1回の調査が実施され、以来多数の市民団体等の参加により年1回の調査が継続している。近年の参加は25団体、1,000名を超えるようになり、活動の輪が広がるとともに定着している。ひとつの海域で共通のマニュアルにしたがって毎年20を超える地点で同時期に生物相調査が実施され、しかもそれが10年にわたって継続しているという事例は稀有であると思われる。しかも得られた生物データは専門的見地から十分に吟味がなされたうえで整理され、インターネット上に公開され、学術資料として利用できる形で提供されている。このような成果は大阪湾の環境を監視し、貴重種や外来種の動向を把握するうえでも大きな役割を果たすものである。本稿ではこの調査における幅広い市民の参加と学術調査としての精度を両立させるために凝らされているさまざまな創意・工夫と、調査を支えている多様な主体の役割について詳述する。

関連レポート

レポート