経営戦略
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~生物多様性をお買いものに織り込むには~
生物多様性の再生にはさまざまなアプローチが必要だが、本稿では、特に一般消費者の消費行動の中に生物多様性配慮を織り込む試みについて、関西の事例を中心に取り上げたい。一例として、食の分野では、兵庫県の「コウノトリ育むお米」を筆頭に、生き物ブランド米が消費者意識に大きなインパクトを与えたが、滋賀県の「魚のゆりかご米」では、農法だけでなく地元産間伐材を用いた魚道を設置する等、さらに積極的な生物多様性保全の工夫を織り込んだ取り組みで消費者の支持を獲得している。また間伐材利用の好事例では、ローカルな産地の環境保全との関わりを消費者に示し、消費を通じて参加意識を共有できる仕掛けを売り手が工夫している。生物多様性配慮商品を消費者が選び、かつ継続的に買い続けるには、生産者から消費者までさまざまな主体が生物多様性保全に係る情報をうまく共有し、価格や品質だけでなく、消費行動の根底にあるエシカル(倫理的)な価値観とエモーショナル(感情的)な価値観の両面から共感できる仕組みをつくることが重要である。