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持株会社やM&Aを活用して 経営に資する戦略的な承継を実現する

経営承継において、自社株の承継は避けて通れない問題だ。それはオーナー家個人の問題ではなく、会社にとっての経営課題でもある。三菱UFJリサーチ&コンサルティング(以下、MURC)では、持株会社やM&Aを活用しながら、単なる自社株対策ではない、経営力強化を兼ねたソリューションを提案している。

小松 創一郎

木俣貴光
三菱UFJリサーチ&コンサルティング
コーポレートアドバイザリー部長(名古屋)
プリンシパル

企業が永続するためには自社株対策が必須であり、非上場株式の承継はオーナー家個人の問題ではなく、会社の経営課題そのものです。」と語るのは、MURCで経営承継における資本政策などのハード面を担当する、木俣貴光コーポレートアドバイザリー部長である。

非上場株式は換金性がないため、納税資金不足に悩む後継者は多い。自社株買いという方法もあるが、それは会社の純資産を毀損して会社の信用力を落とし、議決権のバランスも崩れることになる。それは引いては経営体質を弱め、経営権争いなどの不安定要素を生み出すことにつながる。このように株式の承継にかかる資金問題は深刻である。

もう一つの問題は、株主の分散による経営の不安定化である。経営に関係がない株主が増えると所有と経営の分離が起こり、経営上に深刻な影響を及ぼす可能性がある。それを回避するためには株主構成が極めて重要なテーマとなり、株主の集約化が必要となる。

「自社株対策には多様な方法がありますが、中堅企業の経営承継で最も有用性が高いのは、持株会社の活用です」と木俣は言う。

事業の発展と承継を両立できるのが持株会社

例えば、経営に関係のない株主への分散が進み、グループ各社の経営が複雑化して無駄が目立つ場合。まず持株会社を設立し、さまざまな手法を駆使して株主を集約する。次に持ち合いを解消して、グループ各社を持株会社の100%子会社として再編、持株会社がグループの司令塔となって、業務や投資の重複をなくして経営効率を高める。
この場合、株主は自ら事業を営まない持株会社の株を持ち、子会社の株を間接保有することになるので、子会社の業績が上がっても株価が上昇しにくい構造になる。
「持株会社をつくることで、集権化を図る場合と分権化を図る場合がありますが、いずれにしても、経営課題を整理した上で、持株会社の目的を明確化することが大切です。資産承継の観点では、自社株を後継者に承継させやすくなり、経営上の観点ではグループのガバナンス強化や経営効率の向上が実現し、グループ経営を強化できる。つまり、事業発展と事業承継を両立できることが、持株会社を活用する最大のメリットなのです」

後継者不在の場合はM&Aで“攻めの売却”

近年はまた、少子高齢化の中で後継者が親族や社内に見つからない場合、他の事業会社やファンドに株式を売却するM&Aで、経営を継続するケースも増えている。中には後継者がいても、能力不足を見越して会社の永続のため、売却を決断することもある。
「経営者は、会社を売却することに後ろめたさを覚えるかもしれませんが、最終的には事業規模が大きな企業に売却するので、結果的に会社の信用力や資金力が増します。採用面でも有利になるなどメリットも多く、私たちは”攻めの売却”と呼んでいます。会社の永続と成長を考えるならば、M&Aという発想も大事だと思います」
資本政策に関する専門的なノウハウを持つMURCは、単なる自社株対策に終わらず、経営承継に係る課題解決をトータルでサポートできる強みを持つ。
M&Aについては三菱UFJ銀行のM&A専門部署との協働で幅広い業種のお客さまに対し、質の高いアドバイスを提供している。
「経営承継にはファイナンスが絡むことも多く、私たちは三菱UFJフィナンシャル・グループの一員として幅広いサービスを提供できます。またコンサルティング会社として人事制度や業務改善など、経営に関する多様な専門家をそろえています。いうなれば、経営に資する戦略的な経営承継をワンストップで実現できるのが、私たちの強みなのです」
経営承継は、時として会社の構造を大きく変えることになり、従業員の理解を得ることが大切な要素となる。人を見る目を持つ中堅・中小企業の経営者に信頼される、高い専門性と誠意を持つコンサルタントをそろえていることも、MURCが評価される部分なのだ。

【事例1】製造業A社 持株会社制へ移行し株主を集約、グループの効率化を図る

A社の株主はもともと従業員や役員だったが、相続などで分散が進んでいた。MURCが相談を受けたとき、株主は100人以上存在し、経営に関わらない株主が多かった。またグループ各社の経営は各社の社長に任されており、業務や投資の重複など経営の無駄も目に付いた。
そこで持株会社の設立を提案、「会社は役員や社員自らのものだ」という創業時の理念に回帰して、従業員や役員などの持株会をつくり、株主数の大幅な集約化に踏み切った。オーナー家の株主でさえ、会社の経営と関係のある一部の人に絞った。その一方で、グループ内の持ち合いを解消し、各社を持株会社の100%子会社へ。似通った事業は集約して、グループ経営を効率化し、グループ再編を実施しやすい体制にした。
持株会社の設立で、株価問題も解消。結果的に事業の発展と承継が両立し、「息子へ株を譲渡したい」という先代の希望がかない、その後A社は順調に業績を伸ばしている。

【事例2】小売業B社 持株会社の機能を強化、公益財団法人を設立して自社株対策

B社では既に持株会社があったが、中身がなく形だけの存在だった。経営承継にあたって、その持株会社を戦略的に使うことを提案。グループが所有する不動産や資金を集約し、グループの経営効率を向上させた。同時に持株会社主導で、部門別業績管理制度の見直しや、連結決算・連結納税制度の導入を行い、グループ経営の仕組みを整備した。
それに合わせて公益財団法人を設立し、自社株の一部を同法人に寄付。B社の事業領域でもある特定事業分野への助成金事業や、奨学金事業をスタートした。寄付した自社株は相続財産と完全に切り離されるので、相続税負担も軽くなる。何よりも、企業としてのCSR(社会貢献)活動と経営承継を両立できるのが公益財団法人を活用する大きなメリットで、非上場の大手企業では、こうした公益財団法人の活用が当たり前となっている。

  • 週刊ダイヤモンド :View Point 2017 2017年11月11日号より転載
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