循環経済・資源効率
循環経済の実現に向けたビジョンやロードマップの作成(経済産業省、NEDO)
人類の資源消費量は拡大の一途をたどっており、資源効率性を高め、資源消費に依存しない循環経済型社会の実現が求められています。欧州では「サーキュラーエコノミー(循環経済)」への変革が注目されていますが、わが国でも従来の循環型社会実現に向けた取組にとどまらず、「モノ売りビジネス」から「コト売りビジネス」へといった劇的なビジネスモデルの転換が求められています。
当社は、資源確保から代替技術・3R技術の開発、効率的なリサイクルスキームの実証といった資源のサプライチェーン全体に及ぶ知見と実績を有するという特徴を活かし、世界的に進む循環経済への移行期においてわが国が取り組むべき政策の方向性を示すことを目指しています。先行企業のビジネスモデルの類型化や日本企業の持つ優位性の明確化、循環経済の国際標準化に向けた検討などを行っており、今後は業界横断的な取組を促すために、産学官一体となった社会全体の運動の拡大を目指しています。
資源の需給実態把握や安定確保戦略の立案に向けた調査・分析(経済産業省、資源エネルギー庁、JOGMEC、民間企業など)
現代社会に不可欠な自動車、電気・電子機器などには、鉄やアルミニウムのほか、レアメタルと呼ばれる希少な鉱物資源が用いられています。レアメタルは、モーターや電池など様々な形で私たちの生活に溶け込んでいますが、その大半は中国を中心とした資源国からの輸入に依存しており、資源の安定調達は経済及び安全保障の観点からきわめて重要な課題です。当社は、多様な資源のリスク評価のほか、各資源の用途・需要量を整理したマテリアルフローの作成、サプライチェーン分析などを行うことで、資源の供給途絶がわが国に与える影響を分析しています。
また、供給リスクや国内産業への影響度が高い資源については、海外鉱山の権益確保、代替材料・省資源技術の開発、備蓄、リサイクルの推進といった取組が求められます。当社は、調査・分析結果を基に、資源の安定確保に関する政策立案に資する提言を行っています。
- 参議院資源エネルギーに関する調査会参考人招致(2021年2月10日)
- 参議院資源エネルギーに関する調査会中間報告(2021年6月4日)
- 参議院「資源エネルギーに関する調査会」最終報告(令和4年6月3日)
- 鉱物資源の責任ある調達に係る最新動向の分析・調査(2020年度)(JOGMEC)
- 総合資源エネルギー調査会/資源・燃料分科会/鉱業小委員会(2021年2月15日(第7回)以降)
- 経済産業省資源エネルギー庁「鉱物資源の供給安定性評価調査」(2017~2019年度)(経済産業省)
- NEDO「希少金属代替材料開発等の中長期戦略立案に関する検討」(2015年度)(NEDO)
- 経済産業省「ヘリウムを含有する天然ガスに関する調査」(2013年度)(経済産業省)
- JOGMEC「日本の主要産業におけるレアメタル原料調達フロー調査」(2011年度)(JOGMEC)
効率的な資源利用を実現するビジネスモデルの策定と事業化可能性調査(経済産業省、環境省、NEDO、地方自治体など)
技術開発や資源循環システムの検討の先には、事業化や実装が必要です。こうした中、当社は、地域や企業における資源循環に係るビジネスモデルの策定及びフィージビリティスタディを実施しています。
これらの取組は国内にとどまらず、日本との結びつきが強いアジアなどの新興国を中心に、海外でも積極的に展開しています。急速な経済発展や都市化が進む新興国では、環境技術の導入が追いつかず、日本の資源循環インフラなどの早期導入が求められています。こうした中、日本のリサイクル技術や設備の輸出・導入を支援するだけでなく、日本政府や現地政府と連携することで、日本の法規制や廃棄物回収スキームといった資源循環制度を現地に導入していく取組も行っています。
資源の効率的な利用に関する指標開発やルール形成(経済産業省、環境省、民間団体など)
資源効率の向上を目指して制度設計や戦略策定を行っていくためには、関係者間で共有する指標や標準規格といったルール形成が不可欠です。例えば、資源の調達リスクを評価するためには、統一的な評価手法が求められます。リサイクルの促進を目指して再生原料の取引を加速するのであれば、一定の品質を担保していることを示す製品規格も必要となります。しかしながら、こうした国際標準化が欧州などの海外企業によって主導的に進められることによって、日本企業が不利になってしまうケースも少なくありません。
当社は、こうしたルール形成がわが国の資源・リサイクル産業において重要な役割を果たすとの認識から、新たな指標や規格開発のほか、希土類(レアアース)の合理化に関する国際標準化(ISO/TC298)や循環経済に関する国際標準化(ISO/TC323)の議論に参加し、わが国の資源効率性向上に寄与する戦略策定を行っています。
- 環境省「包括的中間処理(ソーティングセンター4.0)の 実現に向けた再資源化技術・システム実証」(2020~2021年度)(環境省)
- 資源コンビナート構想研究会(令和2年度環境省委託事業「包括的中間処理(ソーティングセンター4.0)の実現に向けた再資源化技術・システム実証」)(2020年度)(環境省)
- 経済産業省資源エネルギー庁「鉱物資源の供給安定性評価調査」(2017~2019年度)(経済産業省)
- 環境省「CFRP含有ASR等の非燃焼処理および事業者間連携による貴金属等回収・再資源化実証」(2018~2019年度)(環境省)
- 自動車リサイクル高度化財団「地理条件及び選好・忌避成分に着目した自動車ガラス再資源化実証」(2018~2019年度)(自動車リサイクル高度化財団)
資源の利活用に関する技術開発(特に開発課題の特定やロードマップの作成など)(環境省、NEDO、JOGMEC、地方自治体、民間企業など)
資源の乏しいわが国で資源効率の向上を実現していくためには、戦略策定や制度設計にとどまらず、希少資源の省資源化や代替技術の開発が不可欠です。また、近年では「都市鉱山」と呼ばれる多様な使用済製品に注目が集まっており、使用済製品からの資源選別や再資源化といった先進的なリサイクル技術の開発が求められています。
当社は、こうした資源の効率的利用に関する技術調査を行うことで今後の実現可能性などを評価しているほか、素材メーカーや製品メーカー、リサイクル事業者などと連携することで、新たなリサイクル技術の実証も行っています。実証事業によって有効性が示された技術の中には実用化につながっているものもあり、将来的な普及拡大やさらなる技術実証の推進も期待されています。
- 環境省「包括的中間処理(ソーティングセンター4.0)の 実現に向けた再資源化技術・システム実証」(2020~2021年度)(環境省)
- NEDO「資源循環を高度化する情報連携システム構築のための調査」(2019~2020年度)(NEDO)
- 環境省「CFRP含有ASR等の非燃焼処理および事業者間連携による貴金属等回収・再資源化実証」(2018~2019年度)(環境省)
- NEDO「動静脈産業連携による循環制御型資源再生技術に関する調査」(2015~2016年度)(NEDO)
- NEDO「希少金属代替材料開発等の中長期戦略立案に関する検討」(2015年度)(NEDO)
- NEDO「3R分野の技術戦略に関する検討」(2014年度)(NEDO)
- 福岡県「福岡県環境技術海外交流推進調査」(2013年度)(福岡県)
資源の利活用に関する技術開発(特にシステム化に向けた制度設計や実証など)(経済産業省、環境省、民間団体など)
資源の大半を輸入に頼るわが国では、一度輸入した資源を最大限国内で循環させるという意味でもリサイクル率の向上が求められています。こうした中、各社がさまざまな再資源化技術の開発を進めていますが、事業者間の連携不足によりリサイクルが停滞することも珍しくありません。再生原料への過度な品質要求がコスト高の原因になることがあるほか、特定の取引先に特化した前処理を施すことで、再生原料の販売先が限定されてしまうこともあります。
当社は、リサイクルの取組みを加速するためには、各企業の個別最適化ではなく、サプライチェーン全体での最適化を実現することが不可欠との観点から、複数事業者間のコンソーシアム形成、動静脈が連携した易解体設計の推進、ベストプラクティスとなる処理技術体系などについて、事業者と連携しながら検討・実証を行っています。
- 環境省「包括的中間処理(ソーティングセンター4.0)の 実現に向けた再資源化技術・システム実証」(2020~2021年度)(環境省)
- 環境省「CFRP含有ASR等の非燃焼処理および事業者間連携による貴金属等回収・再資源化実証」(2018~2019年度)(環境省)
- 自動車リサイクル高度化財団「地理条件及び選好・忌避成分に着目した自動車ガラス再資源化実証」(2018~2019年度)(自動車リサイクル高度化財団)
- 環境省「自動車リサイクルの全体最適化を念頭においた解体プロセスの高度化実証事業」(2015~2016年度)(環境省)
- 環境省「自動車リサイクルにおける素材生産制約物質の低減・資源利用効率の向上に資する解体・破砕プロセスの実証化事業」(2014年度)(環境省)
- NEDO「動静脈産業一体型の産業構造の構築に関する非鉄金属資源を対象とした調査」(2014年度)(NEDO)
- 経済産業省「超硬工具スクラップの回収促進事業」(2006年、2009~2011年度)(経済産業省)
プラスチック資源循環・バイオプラスチック導入に係る調査分析・事業支援(環境省、経済産業省、民間企業、公益・民間団体など)
ここ数年、欧州ではプラスチックに関する新たな政策・施策の策定や民間企業などと連携した取組が活発化しています。背景には、海洋プラスチックごみ問題や資源効率性、地球温暖化などの課題に対応するために、欧州が循環経済(サーキュラーエコノミー)への移行を本格的に進めつつあることが挙げられます。わが国でも、資源・廃棄物制約、海洋プラスチックごみ問題、地球温暖化、アジア各国による廃棄物の輸入規制などの幅広い課題に対応するため、令和元年に「3R+Renewable(再生可能資源への代替)」を基本原則としたプラスチックの資源循環を総合的に推進するための戦略「プラスチック資源循環戦略」が策定され、令和3年1月には、2030年に向けたわが国のバイオプラスチック導入の方向性を示す「バイオプラスチック導入ロードマップ」が策定されました。
当社は、プラスチック資源循環やバイオプラスチック導入に関する政策検討支援、欧州などにおける政策・規制動向などの調査、民間企業における同分野の事業化・事業推進に向けた委託・補助事業の支援などを行っています。