生物多様性・自然資源管理

生物多様性・自然資源管理に関する政策・戦略・制度の設計・実行・評価、対応策の検討、普及啓発など(環境省、農林水産省、国土交通省、地方自治体、業界団体、民間企業など)

私たちの生活や社会、経済活動は、健全な生態系とそこからもたらされる自然資源によって支えられています。1993年に発効した生物多様性条約も、(1)生物多様性の保全、(2)生物多様性の構成要素の持続可能な利用、(3)遺伝資源の利用から生ずる利益の公正かつ衡平な配分を目的とし、自然環境や生物多様性の保全のみならず、自然資源と人間社会の持続可能性を包含し、広範な領域の統合的な解決を目指しているといえます。
当社は、自然環境、食料、農林水産業、経済活動、原材料調達、科学技術研究、知的財産、貧困やジェンダーなどの社会問題、先住民問題、文化多様性など多岐にわたる生物多様性・自然資源管理領域に対して、国、地方自治体、企業、業界団体、大学・研究機関、NGO/NPOなどの多様な主体と連携しながらアプローチし、地球規模・国・自治体・地域・企業などにおける政策・戦略・制度の立案・設計・実行、対応策・対策技術の検討、普及啓発などに取り組んでいます。



生物多様性の主流化に向けた経済価値評価、調査・検討、戦略・方策・コミュニケーションの立案・実施など(環境省、農林水産省、国土交通省、地方自治体、業界団体、民間企業など)

生物多様性の保全と持続可能な利用を実現するためには、あらゆる社会経済活動の中に生物多様性への配慮を組み込む「主流化」が求められています。
当社は、生物多様性の主流化に向けて、生物多様性・生態系サービスの経済価値評価や民間参画(企業の取組)の推進、企業の事業活動・サプライチェーンにおける生物多様性配慮及び情報開示の方策、企業と農林漁業者や地域活動団体などとの連携、認証制度などを通じた消費者の行動転換などの調査・検討、普及啓発・コミュニケーション活動に取り組み、企業や農林漁業者、消費者などの生物多様性に関する取組を後押ししています。また、地方自治体における生物多様性地域戦略の立案や都市における生物多様性配慮の方策検討、生物多様性を活かした地域づくり・地域コミュニケーションの支援などにも取り組んでいます。



遺伝資源へのアクセスと利益配分(ABS)に関する制度・政策設計・実行、国際交渉支援、普及啓発など(環境省、農林水産省、大学・研究機関、業界団体など)

「遺伝資源の取得の機会(アクセス)とその利用から生ずる利益の公正かつ衡平な配分(ABS)」は、学術界や産業界の科学技術研究開発に深く関わっています。生物多様性条約の3つ目の目的に掲げられる重要課題として、長年にわたり複雑な国際交渉が重ねられており、先住民・地域社会の伝統的知識(TK)問題や食料・農業植物遺伝資源条約(ITPGR)など関連分野の条約などとも相互に関連しています。
2014年に名古屋議定書が発効し、日本も2017年に締結、国内措置として「ABS指針」が施行されました。今後は諸外国のABS法規制の整備・運用の進展を注視しながら、ABSの具体的実践方策を模索するとともに、名古屋議定書の国際的・国内的実施の蓄積から有効性を評価していくことが課題となります。一方で、国際交渉では塩基配列などの情報の取り扱いをはじめ新たな議論も提起されています。また、国連の下では「国家管轄権外区域における海洋生物多様性(BBNJ)」の国際交渉が始まり、国家管轄権外の海洋遺伝資源の取り扱いも議論されています。
当社は、20年以上に及ぶ国内外の議論や動向を継続的に注視し、名古屋議定書の締結準備及び国内制度設計・実施・見直しや国際交渉に向けた支援、企業や研究機関などのABSへの対応策や諸外国の法規制などの情報提供、普及啓発などに取り組んでいます。また、ABS政策への示唆を提供するための学術共同研究にも参画しています。



ABSに基づく遺伝資源の研究開発・商業化に向けた支援(農林水産省、国際機関、開発援助機関、大学・研究機関、民間企業など)

海外の遺伝資源を用いて研究や製品開発を行う際には、提供国政府の法規制にしたがって、必要であれば遺伝資源取得・利用のための許認可などをとり、取得・利用や利益配分の条件について契約を結ぶことが求められます。一方で、提供国の法規制整備状況は、その水準や内容がまちまちで、場合によってはどこに確認すればよいかわからない国もあり、許認可の取得や契約交渉も容易ではありません。
当社は、遺伝資源の研究開発・商業化を希望する企業・研究機関などに対し、遺伝資源の取得・利用のための法規制調査や許認可取得、契約締結に向けたサポートに取り組んでいます。また、国際機関、開発援助機関などと連携して提供国に対する能力開発の実施など提供国政府に対するサポートや国際共同研究開発に向けた環境整備にも取り組んでいます。



外来種・鳥獣被害対策の調査・検討、利用方策の検討、普及啓発など(環境省、農林水産省、経済産業省、地方自治体など)

近年、全国的にシカ、イノシシなどの生息数が増加し、生息域も拡大しており、森林や生態系への被害のみならず農業被害が深刻化しています。この問題は人口減少や高齢化、狩猟圧力の減少や耕作放棄地の増加など、社会経済的な状況とも密接に関わっており、適切な管理には野生鳥獣の有効活用も求められます。侵略的外来種も、在来生態系に被害を与えているほか、農業被害や健康被害を引き起こしています。ひとたび定着・まん延すると防除が困難な外来種も多く、その対応には早期発見の体制構築のほか、外来種それぞれの性質に応じた経済性のある効率的・効果的な防除対策が求められます。
当社は、社会経済的側面に着目しながら、侵略的外来種や鳥獣による被害実態及び対策・防除の取組における課題の把握に基づいて、対応策・対策技術の検討や早期発見及び普及啓発に向けた情報・ツールの検討、情報共有の支援などに取り組んでいます。また、効果的な有効利用方策や社会経済的な仕組みの検討にも取り組んでいます。



海洋・海洋資源の保全と持続可能な利用に関する制度・政策設計・実行、普及啓発など(環境省、水産庁、業界団体など)

地球の約7割を占める海洋は、海洋資源の供給や気候の調節など、地球と人類の存立基盤になっています。海洋の生物多様性は陸域以上に未解明の部分も多く、海洋資源や海域利用という観点からもフロンティアであるといえます。一方で、人間活動による沿岸域への影響増大や海洋プラスチック問題、世界的な漁業資源の枯渇なども懸念されています。四方を海洋に囲まれる日本にとっても海洋政策は重要な課題となっており、「海洋基本法」の下で総合的な施策が推進されています。
当社は、海洋及び海洋資源の保全と持続可能な利用に関する制度・政策の設計、実行、普及啓発などの支援に取り組んでいます。



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